02_ボディメイク0203_生化学・生理学

エステで「脂肪燃焼」の嘘!

Kaname
Kaname

ふぅ~。書きたいこと書いた。俺は自由だ~。

ガチャ男
ガチャ男

あっぱれ!今回は踏み込みましたな!
明日には業界に消されとるかもしれんのぉ。
背後には十分気をつけるんじゃぞ。

Kaname
Kaname

その時はお主も道づれじゃぁ~!

 エステの広告で「脂肪燃焼」、「脂肪をモミ出す」などを謳い文句にしていることがあります。まともなエステ店であれば、まずこのような言い方はしません。一時的なむくみ解消や脂肪分解のきっかけ作りから食事、運動指導を加えて一緒に改善していくというのが、エステの本質だと考えます。※業態によってコンセプトは異なります。

 予め断っておきますが、エステ自体を批判するつもりは一切なく、誤解を招く一部の宣伝や説明について丁寧に論破させていただく次第です。

<脂肪が燃焼する仕組み>

 運動などでエネルギーを使い続けると、体内でグリコーゲン(糖質)が減り血糖値が低下してきます。すると今度は脂質がエネルギー源の対象になります。脂肪組織は、ホルモン感受性リパーゼ(酵素)の働きにより血中に「脂肪酸」として放出され(分解)、血管を通って全身の筋肉や臓器の細胞でクエン酸回路を経てエネルギー化(ATP)されます(燃焼)。このように脂肪は、分解→燃焼の工程があります。

 また、分解→脂肪再合成の工程もあります。例えば、カプサイシンやカフェインなどを摂取することで脂肪を分解することはできますが、燃焼することはできません。分解された脂肪酸は血中を漂い、エネルギーになる必要がないと分かると中性脂肪などに再合成されます。

<エステによる施術効果とは>

 業態により施術内容は様々ですが、今回はハンドマッサージと超音波や高周波機器を取り上げます。

ハンドマッサージによる効果

 脂肪の分解は前述した通り体内の酵素の働きによって分解されますので、揉むことで脂肪が分解されるということはあり得ません。ハンドマッサージにより下腹部や太ももなど局所的にサイズがダウンしますが、これはその位置の「水」が移動しただけです。マッサージの刺激により細胞間の水分が汗とともに排出されるため、むくみがとれサイズがダウンします。これは一時的なもので、水を飲んでしばらくすれば元通りになります。

 上述の通り、「脂肪もみ出す」説は否定できました。しかしながら、ハンドマッサージは一時的でもむくみや血流が改善し、スリムになることでモチベーションが上がり、その後のボディメイクのきっかけ作りとして有用な手段であると言えます。

超音波や高周波機器による効果

 超音波マシンによる脂肪細胞の破壊(キャビテーション)、高周波マシンを使った水分振動による脂肪細胞の分解(ハイパーナイフなど)などとよく宣伝されています。マシンの営業マンはこれを売り文句として、さらにエステティシャン、一部の医師までもがこれを信じている現状があるというのは残念なことです。

 日本超音波医学会の電子ジャーナルでは、超音波による生体反応について「熱的作用」と「非熱的作用」があり、熱的作用とは目的部位の加熱を意味し、非熱的作用は気泡の高温高圧状態により大きなエネルギーが生じるとしています。この際に組織にダメージを与えると考えられていますが、研究段階で明らかになっていません。この非熱的作用をイナーシャルキャビテーション、通称キャビテーションと言います。

 脂肪が燃焼する仕組みで記述した通り、脂肪組織を分解するのはホルモン感受性リパーゼという酵素の働きによるもので、外部の刺激で分解されることはありえません。組織へダメージを与えるのと分解するのとでは全く意味が異なります。故に分解されて血中に脂肪酸が放出されることもありませんし、燃焼サイクルにたどり着くこともありません。

 そればかりか、超音波によるキャビテーションの際、OHのフリーラジカルが発生します。つまり、活性酸素(ヒドロキシルラジカル)が発生します。(活性酸素について別記事で解説)体内の活性酸素の量に比べ微量ではありますが、細胞やDNAを傷つける可能性も否定できません。

 そもそも、外部から体組織を破壊する行為は医療行為にあたり、当然エステでは認可されていません。医療系の超音波マシンについては国が認可しているため上記のデメリットについて安全性が考慮されていますので、X線検査など無用に恐れる必要はありません。エステ用のマシンの安全性については、私は知見がないのでなんともいえません。

 上述の通り、「脂肪燃焼」説は否定できました。ただ、細胞に対して熱を発生させているのは確かなので、熱エネルギーにより分解を促す可能性はあります。身体を燃えやすい状態にして、運動や食事管理をはじめ、ボディメイクのきっかけになると良いと思います。

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