02_ボディメイク0201_トレーニング理論

マッチョは使えない筋肉でスポーツ選手は使える筋肉?~SSC解説~

Kaname
Kaname

日本のGDPは世界3位だけど、フィットネス普及率は30位らしいよ。
もっと日本にフィットネス普及してほしいよ~。

ガチャ丸<br>おやぶん
ガチャ丸
おやぶん

てやんでい、殿!あっしら指導者がふぃっとねすを盛り上げるだよ!

Kaname
Kaname

そ、そうだな。。って、あんた誰!?

 数年前、私は正月に帰省した際、家族や親せきに鍛えていたカラダを披露したことがあるのですが、驚嘆とともに私の従妹の小学生に「使えない筋肉~!」と指差されたことがあります。もちろん、笑顔で答えましたが(笑)

 日本のフィットネス認知度以前に、子供が見た目のイメージで判断するのは仕方のないことです。ですが、大人になってもこのタイトル通りの認識では、フィットネスリテラシーが低いと言わざる得ません。

 今回は筋肉への誤った認識からスポーツ動作に有効なトレーニング方法まで解説していきます。

<使えない筋肉という誤解>

 まず、ボディビルやフィジーク、ビキニといったボディコンテストは、肉体美を競う競技でありスポーツです。その選手(いわゆるマッチョ)は、日々肉体の改善に励み、大会で勝つことを目指しているので、その競技においては「使える筋肉」ということになります。もちろん、競技ではなく、健康、美容を目的として鍛えている方も、その目的のために「使える筋肉」となります。

 では、ボディービルダーの筋肉が、サッカーや野球、格闘技など他のスポーツにすぐ使えるかというと、答えはNoです。その他競技のための技術トレーニングをしていないので、神経系が適応しておらず筋肉が上手く使えなくて当然です。これが「使えない筋肉」というイメージを膨らませているのでしょう。目的が違うことを認識しなければいけません。

 海外では、スポーツ選手のフィジカル強化(筋力トレーニング)は常識で、日本は一歩遅れており最近になってようやく注目されるようになりました。ひと昔前の日本では、スポーツ選手は、過度な筋肉は動きの邪魔になるのでウェイトトレーニングは必要ないとの認識がありました。筋肉が大きくなると可動域に問題が出ると考えるのでしょう。

 ここでも大きな誤認があります。

 筋肉を大きくする事が主な目的のボディビルダーに対し、その他のスポーツ選手は筋肉を大きくするのが目的ではなく、筋力(パワー)を向上してスポーツ動作に活かすことを目的としてトレーニング方法を考えなければなりません(筋肥大と筋力向上は分けて考えるべき)。筋力を向上させるためにはウェイトトレーニングは重要で、スポーツ動作においてはSSCを活用した筋トレが有効なトレーニング方法となります。

<SSCとは>

 SSCとは、Stretch Shortening Cycleの略で、筋肉を伸長(ストレッチ)させると、短縮(ショートニング)する筋肉の反動動作を表しています。例えば、バスケットでシュートする際、一度しゃがんで(筋肉の伸長)から一気にジャンプ(筋肉の短縮)しますが、これもより高く飛ぶためにSSCの特性を活かしています。このような筋肉の反動を「伸展反射」と呼びます。反射は脳を介さず脊髄からの反射運動なので無意識に行われます。

 あらゆるスポーツは動作の中で切り返しがあり、このSSCを強化することがフィジカルベースを高め、競技力向上につながります。多くの研究で、SSCトレーニングによりスポーツ選手の可動域や身体能力に有意な改善が見られたことがそれを示しています。

<SSCを強化するトレーニング方法>

 SSCを強化するためには、ウェイトトレーニングが効果的です。ただ、一般的なウェイトトレーニング(筋肥大目的)では、あえて反動を殺し動作を行うためSSCを強化することは難しいです(スポーツ動作が苦手な理由でもある)。そのため、ゴムの伸び縮みのようなスピーディーな切り返しを意識して動作を行う必要があります。

 例えば、ベンチプレスやスクワットでは、ボトム(最下点)で素早く切り返し爆発的挙上を意識します。ただし、ベンチプレスやスクワットのようなストレッチポジションで大きな負荷がかかる種目は高重量では怪我のリスクがあるため、軽め~中重量を設定しましょう。

 SSCを活用し身体の連動性を向上させるパワークリーンの種目もお勧めです。パフォーマンスを高める良い種目ですが、難易度も高いので、必ず指導者のもとで実施しましょう。

 競技の特性に合ったトレーニング種目を採用しましょう。例えば、相撲や柔道では押す動作があるのでベンチプレスの種目を選択し、スキージャンプではジャンプ力が欠かせないのでスクワットの種目を選択するといった感じです。

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