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女性ホルモンの働きと心と体のケアⅠ(月経)

 ホルモンは、私たちの人生の営みのあらゆる面(成長、生殖、妊娠、思考、食事、睡眠、老化、感情)に深く関わっています。特に女性の体内では、男性と比較してホルモンの上昇/下降が著しくココロとカラダに大きな影響を及ぼします。この記事をお読みの方へ、女性ホルモンがどのように働きを知り、どのように行動すれば良いのか、その一助になればと思います。ご自身、もしくはパートナーへのご理解が深まれば幸いです。

ホルモンとは何か?

 ホルモンは体内のあらゆる状態を調整するメッセンジャー(情報伝達物質)です。ホルモンは、内分泌系の腺や器官にある特殊化した細胞から放出され、血管を通り体内のターゲットとなる細胞まで運ばれます。ホルモンそのものが働きを持つものではなく、受け取る側の細胞の性質によって作用が変わります。例えば、幸せホルモンとして有名なセロトニンは、脳で受け取れば心の安定に、腸で受け取れば食欲抑制の働きを発揮します。このように同一のホルモンであっても作用する細胞の種類や伝達経路によって様々な異なる働きをすることがあります。

ガチャ丸こぶん
ガチャ丸こぶん

結局ホルモンて何なんですか?焼き肉の内臓的なアレしか思いつきません。ジュルリッ

Kaname
Kaname

ホルモン(内分泌物質)はドイツ語で先に命名されているね。焼き肉のホルモンという名は、一説では関西弁からきているらしい(ほおるもん:捨てるという意味)、知らんけど。

とにかく、ホルモンは私たちの体内にたくさん出ていて、健康を維持するために寝ろとか食べろとか体温上げろとかいう指示役って感じです。役目が終われば分解されて排泄されちゃいます(半減期)。

 今回は、女性ホルモンの中でも重要な「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つのホルモンを中心に解説していきます。このホルモンは、卵巣から分泌され、女性らしい体の発達をコントロールします。その際、ホルモンの揺らぎにより心と体に様々な影響及ぼしてしまいます。これらの働きと対処法を期ごとに説明します。

月経周期におけるホルモンの働き

 女性は、平均13歳前後で毎月の排卵(卵巣から卵子を卵管へ放出すること)と月経が始まります。受精や妊娠が可能になった状態で排卵され、受精し子宮に着床すれば妊娠、しなければ月経のサイクルが行われます。このサイクルは閉経(平均50~51歳前後)するまで続きます。1サイクルは個人差がありますが28~30日前後となります。

エストロゲンの働き

 排卵前の準備として、脳下垂体から放出された卵胞刺激ホルモンが、エストロゲンを分泌を促し、エストロゲンが前回の月経で子宮内膜の剥がれ落ちた子宮の壁を修復します。エストロゲンは、排卵を起こす黄体形成ホルモンを大幅に上昇させます。排卵検査薬はこのような黄体形成ホルモンの上昇をチェックして、排卵日を調べることもできます。

 エストロゲンはこの働き以外にも、体温の調節、深い眠り、皮膚のコラーゲン促進、骨密度を維持、心臓や血管の病気(心血管系疾患)の予防、記憶力や集中力の低下防止、情緒の安定などの働きがあります。

プロゲステロンの働き

 排卵されるとプロゲステロンは子宮内膜を厚くし、月経を止める作用があります。妊娠するとプロゲステロン濃度が高い状態が続き、これが卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌を抑制するため排卵が抑えられます。受精卵が子宮に着床しなければプロゲステロン濃度が低下し、子宮内膜がはがれ落ちます(生理)。

 プロゲステロンはこの働き以外にも、血糖値のコントロール、甲状腺ホルモンの作用促進、子宮体がん予防などの働きがあります。妊娠中は、気分を落ち着かせたり入眠しやすくしてくれます。

月経周期による心と体への影響

 妊娠が成立しないと、女性は上記のグラフの周期をくり返します。わずかな期間でホルモン分泌が変化するため、体調の変化が起こりやすく、特にプロゲステロンが急激に変動する排卵後から次の生理までは、不調を感じやすい時期、さらにプロゲステロンは水分溜め込む性質があるため、一時的にむくみやに体重増加が発生します(脂肪が増えているということでない)。また、女性ホルモンの分泌のリズムが乱れると、生理不順も起こりやすくなります 。

生理中の症状

 生理のとき、子宮は、子宮壁からはがれ落ちた子宮内膜と血液を一緒に押しだそうとして収縮します。この収縮の痛みが「生理痛」です。生理痛は感じないか、軽いのが正常です。寝込んだり、毎回鎮痛剤が手放せない程痛みが強く、日常生活に支障が出る場合は「月経困難症」と呼ばれ、何らかの婦人科トラブルが隠れている可能性があります。

生理前の症状

 生理の3~10日ほど前から、イライラや怒りっぽくなる、倦怠感、うつ状態になる、乳房が痛い、頭痛、むくみ、眠気が強くなるなどの症状が現れる状態をPMS(月経前症候群)と呼びます。エストロゲンとプロゲステロンの急激な変化などが原因ではないかと考えられています。症状がひどい場合は、医療機関へ行き、医師に相談しましょう。

生理不順の症状

 正常な生理周期は、25~38日。生理の周期には個人差があるので、生理の初日から次の生理が始まるまでの期間がこの範囲内で定期的に起きているのなら問題ありません。
短すぎたり、長すぎたり、期間が一定しない場合は「生理不順」と呼ばれます。排卵がスムーズに起きていないなど、何らかのトラブルが考えられます。

体調を崩さないために生活習慣を見直す!

バランスの良い食事

 太り気味の子どもは、思春期が早く始まることがあります。正常な性的発達を維持する手段の1つとしては、野菜、果物、魚、豆類を基本とするバランスの良い食事を子どもの頃から取り入れることが推奨されます。この基本は大人になっても変わりません。

 アルコール・塩分・カフェイン(コーヒーなども含む)はイライラ・むくみ・緊張感などを高める原因になり、PMSの症状を悪化させる可能性があるので摂り過ぎには注意しましょう。

運動でホルモンバランスを維持

 日々の適度な運動により女性ホルモンの健康的なバランスが維持されます。筋肉を動かすことで体温が上がり、血液もしっかり作られますので、次第に血流もよくなり、生理痛も改善されます。筋肉には、熱を作って体温を上げる役割以外にも、基礎代謝を上げる、むくみをとる、血糖値を下げる、血圧を安定させる、ストレスに強くなる、気分を安定させるなどの役割があります。

 ポイントは、体の筋肉の約70%を占める下半身を意識すること。特に太ももには大きな筋肉がありますので、下半身を動かすことを意識すれば、効率よく熱を作ることができます。

ガチャ丸こぶん
ガチャ丸こぶん

基本的なライフバランスがホルモンの乱れを防ぐんですね!

でも、食べたいものを食べたいときに食べたいです!

あと運動はちょっと苦手です!

Kaname
Kaname

できることからチャレンジをしてみると良いよ。筋トレでなくても、ウォーキングやジョギングなどの20分程度の軽い運動でも十分効果があります。大事なのは最初の一歩を踏み出すこと。

女性ホルモンの働きと心と体のケアⅡ(妊娠)

参考文献「ホルモンのはたらきパーフェクトガイド」

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