02_ボディメイク0203_生化学・生理学

若返り研究最先端!その③ 「薬やサプリメントで老化を治す」(要約)

その②「今すぐできる老化を治す方法」の続きになります。

メトホルミン

 2型糖尿病は、すい臓は十分なインスリンを作れるのに、体がそれを感知できない病気である。全世界で見ると、成人全体の9%がこの病気をもっており、インスリンの感受性を回復する薬を必要としている。糖尿病による死は、速やかでもなければ慈悲深くもない。失明、腎不全、脳卒中、脚の潰瘍や壊疽、手足の切断といった恐ろしいものをたくさん連れてやってくる。1950年代の半ば、フランスの薬学者と医師がこの病気について研究し、ガレガソウという薬草から有効成分を抽出し「メトホルミン」と呼ばれる糖尿病治療薬を作った。以来、世界で最も広く使われ、最も効果の高い医薬品の1つとして認められている。

 この薬が健康長寿にどう関係するのか。今から数年前、研究者が不思議な現象に気づく。メトホルミンを服用している患者は、そうでない人より際立って健康状態がいいのである。しかもそれは、糖尿病が改善していることとは無関係のようだった。それを裏付けるように、それから様々な研究と実証実験が為され、68歳から81歳までのメトホルミン服用者4万1000人あまりを対象に9年間の追跡調査を行った結果、認知症、心血管系疾患、がん、虚弱、うつ病になる確率がメトホルミンによって有意に低減されていることが確認された。

 メトホルミンは、AMPK遺伝子を活性化させ、NADの濃度が上昇し老化へ防御機構を始動させる。病気の上流でサバイバル回路を働かせ、エピゲノムの情報が失われるのを顕著に遅らせ、代謝を抑えることで、あらゆる器官が若く健康でいられるようにするのだ。

 ある研究では、健康な被験者にメトホルミンを服用させたところ、血液細胞のDNAメチル化年齢が1週間で若返ることが確認された。驚くことに850mg錠を1錠飲んだだけで、わずか10時間後に効果が現れた。

 メトホルミンを抗老化薬として処方する国は現時点ではほぼない。ただ、糖尿病にかかっている世界の何億という人々にとっては入手の難しい処方薬ではない。1錠が数セント相当で購入できる。だが、糖尿病と無縁の人は、残念ながら手に入れるのは難しい。

 現在、「メトホルミンによる老化の標的化」という研究が進められており、これは老化に伴うごく一般的な病気をその根本原因から対処する初の薬として、メトホルミンを認可させようという取り組みだ。それができれば、老化を治療可能な病態とみなすとFDA(アメリカ食品医薬品局)はすでに同意している。実現すれば、1つの重大な転換点となるだろう。老化が「仕方がないもの」だった世界の終わりが始まる。

レスベラトロール

 フランスの食事にはバターやチーズなどの飽和脂肪酸がかなり多いにも関わらず、フランス人の心疾患罹患率が低い。これを「フレンチ・パラドックス」という。赤ワインにも含まれる抗酸化物質の1つ「レスベラトロール」が健康面に良い影響を与えているのではないかと研究が始まった。酵母細胞の実験では、カロリー制限と同じ効果が現れ、人間でいえば寿命が50年増加した。しかも最大寿命が延びるのも確認できた。また、カロリー制限中の酵母でレスベラトロールを試しても、寿命がさらに追加されることはなかった。つまり、どちらも同じサーチュイン酵素を活性化するかたちで作用していたのである。

  その後、何百件という研究結果が発表され、レスベラトロールが数十種類の病気(種々のがん、心臓病、脳卒中、心臓発作、神経変性、炎症性疾患、創傷治癒など)に対して予防効果を発揮するほか、マウスの健康と回復力を全般的に高めることが報告されていった。マウスにレスベラトロールと間欠的断食を組み合わせると、断食のみでは達成できない長さまで平均寿命と最大寿命を共に延ばせることを発見した。この発見が、論文に頻繁に引用され、主流メディアでも広く取り上げられ、赤ワインの売上は30%伸びたらしい。

 だが、人間がマウスと同じ有効量のレスベラトロールを摂るには、毎日赤ワインを100杯くらい飲むことに相当する。そして、のちに明らかになったのだが、レスベラトロールは飛びぬけて効力が高いわけでもなければ、人間の消化管内でよく溶けるわけでもなかった。この2つの条件を満たさないと、病気を治療する薬としての効果はあまり期待できないことになる。だが、この発見の価値はとても大きく、老化を先延ばしにできそうな化学物質をもっと見つけ出そうと、世界レベルで研究競争が始まる引き金となった。

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)

 レスベラトロールより何倍も効果が高いサーチュイン活性化化合物(STAC)を探そうと、一斉に研究がスタートした。発見された1つにNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)がある。これは他のSTACにはない利点があり、7種類あるサーチュインすべての活動を高めてくれるのだ。

 NADはナイアシン(ビタミンB3)から生成される。十分な量のNADが存在しなければ、サーチュインはうまく仕事ができない。そして、NAD濃度は年齢とともに低下することがわかった。NADは体内のすべての細胞で500種あまりの酵素に利用されており、重要な細胞プロセスで中心的な役割を担うが、濃度の低下は、脳、血液、筋肉、免疫細胞、すい臓、皮膚など全身で確認された。遺伝子操作でNADを増やした酵母細胞の実験では、通常より50%の寿命を延ばせた。

 人間の遺伝子を操作するのは倫理面など難しいので、NADを人間の細胞でも増やす安全な分子を探しはじめた。その1つがNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)だ。NMNは、NADの前駆体(生化学反応において生成物の前の段階)の1つで、人間の細胞内でも作られているし、アボカド、ブロッコリー、キャベツなどの食物にも微量ながら含まれている。NMNをいれた飲み物を動物に与えると、体内のNAD濃度はそれから2~3時間で約25%上昇する。まるで絶食か相当な運動をしていたかのような上がり方だ。

 今井眞一郎教授は同じ研究室にいた友人だ。1990年代に今井は、NADがサーチュインの働く燃料であることを発見し、2011年には、NMNがNAD濃度を回復させることで高齢マウスの2型糖尿病の症状を治療できることを示した。

 2016年、ハーバード大学の研究室で、NMNが高齢マウスに若いマウス以上の持久力を与えられることを発見した。距離設定されたマウス用ランニングマシンを、持久力があり過ぎて壊してしまったこともあった。高齢マウスが、いや、どんなマウスであれ想定外のあり得ないほどの距離を走ったのだ。NMNは、たんに高齢マウスをウリトラマラソンのランナーに変えるだけではない。平衡感覚、協調運動能力、俊敏さ、体力、記憶力が目を疑うほどの上昇を確認した。人間でいえばとっくにシニア割引を受けられる人が、SASUKE(スポーツエンターテイメントの番組)の挑戦者に変貌したようなものだ。

 最新の研究でNMNのようなNAD増強分子(メトホルミンも含む)が人間に対しても似たような健康効果をもたらすことができると強く示唆されている。さらには、それがエピゲノムの観点から見てどのような原理によるのかも明らかになっている。NAD増強分子が適度なストレスを作りだすことで、長寿遺伝子が働いてエピゲノムの変化を抑制し、若々しくいられるプログラムを維持する。

 そう思わせる1つの手がかりとして、ハーバード大学の研究室で学ぶ学生の母親がNMNのサプリメントを服用しており、彼女は閉経後であったにも関わらず、月経が再開したのだ。これは2017年秋のことであり、それ以来、同じような経験をしたという女性を何人も耳にした。2018年に行われた試験では、NAD増強分子が老馬の生殖能力を回復させることに成功し、獣医師を驚かせた。あくまで事例証拠にすぎないし、まだ同様の事例の数も少ない。それでも、衰えた卵巣の機能を回復させる力がNAD増強分子にあるのかもしれないと示唆されている点では実に興味深い。マウスの実験でもNMN投与によって生殖能力が蘇ることが確認されている。これらのことから確信できていることは、女性が今よりはるかに長く生殖能力を維持し、とたえそれを失ってもまた取り戻せるような世界が信じがたいスピードで近づきつつあるということだ。しかし、これが老化とどう関係するのだろうか。

 有望なNAD増強分子は、NMNだけでなく、メトホルミンはすでに、多嚢胞性卵巣症候群の女性の排卵機能を改善するために広く使われている。この病気になると、月経の間隔があいたり、1回の月経が長引いたりする。このようなNAD増強分子が人間の卵巣機能を回復させたことを示唆する事例が早くも得られている。これは、卵巣の老化を遅らせ、修復し、若返らせるように働くメカニズムを利用して、他の臓器でも同じように作用してくれることが十分に期待できる。

NMNとメトホルミンの服用事例

 私(シンクレア教授)の父は、ある病理検査会社のコンピュータ担当者として働いていた。当然ながら、画面の前で長時間椅子に座って過ごしていた。それは、恐ろしく体に悪いと専門家が指摘する生活習慣である。喫煙と同じくらい有害だとする研究者までいた。

 2014年に母が亡くなる頃、父は70代半ばだったものの、まだかなり活動的ではあった。すでに67歳で退職しており、旅行や庭いじりを趣味にしていた。しかし、父にも容赦のない衰えが始まった。境界型糖尿病(いわゆる糖尿病予備軍)と診断され、耳が少し遠くなり、視力も落ちた。疲れやすく、同じ話を何度も繰り返す。不機嫌になることが多くもなった。生き生きとした老後とは程遠い。
 
 父は境界型糖尿病の治療のため、メトホルミンの服用を始めた。翌年からはNMNも摂るようになった。そして、半年ほど経ったある日、服用当初は半信半疑であった父が「大騒ぎしたくはないんだけどね、確かに何かが起きているよ」。あまり疲れを感じにくくなり、イライラが減り、頭もはっきりしてきたという。

 「友達と足並みがそろわなくなってきたんだ。みんなは年を感じるとこぼしているし、ブッシュウォーキングにも出てこられなくなった。私はもうそんなことはないね。痛いところもつらいところもない。ジムのボート漕ぎ運動じゃ、ずっと若い連中に勝つくらいだ」。一方、父のかかりつけ医は、20年も異常だった父の肝臓の数値が正常になったことを驚いていた。そのあとで、父がアメリカに来て出会ったとき、母が亡くなってから初めて、笑顔が戻っていたのである。

 最近の父は十代の若者のように動き回っている。風雪のなかを6日間もあるいてタスマニア島の最高峰に登ったり、三輪バイクでオーストラリアのブッシュを駆け抜けたり、アメリカ西部で秘境の滝を巡ったりもしている。ドイツ北部の森では、木々に渡したロープを滑車で滑るツアーに参加したり、アメリカのモンタナ州では、急流いかだ下りを楽しむ。オーストリアでは氷穴の探検までした。さらには、働くことが恋しくなったので、新しい仕事を始めた。オーストラリア最大級であるシドニー大学の倫理委員会の一員として、人間を対象にした研究を審査・承認する役についたのである。

 今までもずっとそんな風に生きてきたのなら、こういう姿を見ても特段驚きはしない。しかし、断じてそういう人間ではなかった。老後など少しも楽しみではないとよく話していたし、もともと人付き合いもいいほうでもなければ、朗らかなほうでもない。どちらかといえばネガティブな性格であった。だから人並に10年ほど隠居生活を送ったあとは、介護施設に入るつもりでいた。行く末がどうなるかもしれていた。自分の母親に起きたことを見ていたからである。70代、80代になって母親はめっきり衰え、最後の10年間は痛みと認知症に苦しんだ。それを父はなすすべもなく眺めていた。そういう記憶がまだ新しかったから、70歳を超えて長く生きたいと思っていなかった。むしろ、それだけはいやだと恐れていた。

 ところが、いざそうなってみると、自分の人生を大いに気に入っている。毎朝目が覚めるたびに今日も刺激的な体験をたくさんしたいと楽しみで仕方なくなるほどだ。そのために、毎朝欠かさずメトホルミンとNMNを飲み、残り少なくなってくると不安になる。活力が蘇り、人生を楽しみ、年を摂ることを前向きに捉えているその姿は、脅威としかいいようがない。もちろんどれも、服用している分子とは関係ない可能性もある。年をとってからこういう心身の変化を見せる人も、世の中にはいるというだけの話かもしれない。

 少し前のこと、父はアメリカ東海岸のかなりの地域を見て回ってから、オーストラリアへ帰国する準備をしていた。そんな折、私は医学研究と科学研究の功績が認められ「オーストラリア勲章」を受章することになり、授与式はワシントンDCの大使館で行われることになった。私はおそるおそる、翌月の行事のためにまたアメリカに来られないかと訊いてみた。「また来てもらうのは申し訳ないと妻は言うし、あと4週間しかない。父さんはもうじき80歳だし、長旅になるし、それに・・・」「もちろん来たいにきまってるよ。ただ、その予定を入れられるかどうか、ちょっとまだわからないんだ」結局、父はいくつかの会合をキャンセルし、アメリカ行きをしっかり予定に組み込んでくれた。妻や子供たちと一緒に父が式に出席してくれたことは、間違いなく人生最高の日の1つとなった。

 家族と並んで立つ父を見ながら、こんな思いが込み上げてきた。「人生の大事な瞬間を親に立ち会ってもらえるなんて。長い人生とはこういうことのためにあるんだ」父があとで教えてくれたところによると、やはりあの場に立ちながらこんな感慨にふけったのだという。「子どもの大事な瞬間に立ち会えるなんて。長い人生とはこういうことのためにあるんだ」

 父が若返ったという話は、もちろんただの事例証拠にすぎない。父の気分が良くなったのは、メトホルミンとNMNの組み合わせたおかげなのか。それとも、たまたまなのか知るすべはない。いずれは人間を対象にして、入念な計画に基づく臨床試験が実施されるだろう。その結果が出たとき、老化の時計は巻き戻せるという強力な証拠が得られるに違いない。誰であれ私と同じことを知り、私と同じものをみれば、人類に何か重大な変化が訪れようとしていると信じずにはいられない。


トレーナーKanameの筋肉翻訳

Kaname
Kaname

父と子のこの体験談、めちゃくちゃ感動しました~。私がプロデューサーだったら、もうドキュメンタリー映画にしたいくらいです。

ガチャ丸<br>こぶん
ガチャ丸
こぶん

ボクも出演したいです。

簡単にまとめてみました。

名称種類長寿効果補足
メトホルミン医薬品臨床試験段階。医師の指示が必要なため、健常人は入手が難しい。
レスベラトロールサプリ動物には効果が実証されたが、人間には効果が薄い(今後の研究に期待)
NMNサプリ臨床試験段階。量産体制が確保され、最近では手に入れやすくなっている。

メトホルミンについて

 メトホルミンはネット通販で販売していることがありますが、現状あくまでも糖尿病の治療するための薬ですので、医師の指示なく自己判断での服用はおすすめしません。昨年、シンガポール保健科学庁からメトホルミンを有する製剤に発がん性物質が検出されたと公表がありました。錠剤に印字されたインクの成分により化学反応が起きたことが原因とされており、事業者が自主回収する事態となりました。このように、個人輸入では相当なリスクがありますので、皆さん安易にポチっとしないようにお願いします。(購入・使用による何等かのトラブルに対して当ジムでは一切の責任を負いかねます)

 メトホルミンの効果と副作用について確認していきましょう。

 メトホルミンとは、50年以上にわたって使用されてきた2型糖尿病の治療薬で、インスリン感受性の向上、肝糖新生の抑制、消化管で糖の吸収抑制などの働きがあります。(インスリンについて別記事でも解説)インスリン感受性が高まるとどうなるかというと、血液中の糖分を筋肉などの細胞に取り込み易くなるということです。インスリンが増えるというわけではなく、働く力がUPするのです。2型糖尿病はインスリンは出るけど、作用しにくいという病気なので、治療薬として適しています。では、長寿において何が良いのかというと、メトホルミンは、ミトコンドリア(細胞を作る工場)の代謝反応を制限することで、AMPK酵素(ミトコンドリアを回復させる機能をもつ)が活性化し、NADの濃度を上昇させ結果的にミトコンドリアをより多く生成したり、老化への防御機構全体を始動することが、健康寿命の延長につながると考えられています。それを実証するいくつもの事例がすでに確認されており、今後の緻密な臨床試験でさらに確実になることが期待されています。

 筋肉翻訳なので、筋肉的にはどうなの?という点ですが、残念ながら筋肥大への効果は少ないと考えています。筋肥大において、インスリン感受性を高めることは非常に重要です。血液中の糖分(栄養)を筋肉に送り込めることで、筋トレによる筋繊維ダメージを回復させ、筋タンパク合成を高めることができます。インスリン感受性を高めるという意味では、アルギニンやαリポ酸などいくつものサプリメントが市場に存在しますが、2型糖尿病の治療薬とするレベルのメトホルミンの作用はそれを有意に超えると思います。ちなみにメトホルミンは、ドーピングではありません。(世界アンチ・ドーピング規定より)ただし、AMPK酵素の活性により、脂肪やタンパク質の合成は抑制されるため、痩せやすくなる反面、筋肥大は抑制されますので、インスリン感受性とAMPKのどちらの作用が勝つかが焦点になると思います。

 また、メトホルミンは小腸での糖吸収を阻害し、便とともに排出されることが最近の研究で明らかになっています。そのため、減量期におけるトレーニングには向いています(逆に増量期には適してない)。これはある意味ダイエット効果を上げる助けになると思います(ケトジェニックではさらに効果が上がるでしょう)。ただし、注意しなければならないことがあります。インスリン感受性を高めることで血中の糖分を低下させ、さらに小腸からの糖吸収を阻害するということはどういうことか想像してみましょう。そして筋トレを組み合わせると?そうです。「低血糖」になる恐れがあります。メトホルミンで血糖値が下がり、さらに筋トレ(や有酸素運動)をすることでも糖質を多く使用するため、これが重なると低血糖の可能性が考えられることになります。メトホルミンを服用しながら筋トレをする場合は、筋トレ時と前後に吸収率の高い糖質を摂取することが前提となるでしょう。

 他にもメトホルミンの副作用として、下痢、食欲不振、稀ですが乳酸アシドーシスがあります。乳酸アシドーシスは、肝臓の糖新生が抑制されることで元になっている乳酸が体内に溜まってしまうことで発症します。これにかかると強い倦怠感・悪心や嘔吐・下痢・筋肉痛といった症状が起こり、最終的には昏睡状態になってしまいます。

 とはいえ、メトホルミンの長寿の効果にはかなり期待が持てます。今後、臨床試験を突破してFDA(アメリカ食品医薬品局)で老化治療薬として承認されれば、ドラッグストアなどで気軽に購入できる時代がきっと、いや、まもなく来ると信じています。

NMNについて

 NMNは若返りサプリメントとして米国や中国などで注目を集め、中でも中国の富裕層を中心に高い人気があり、NMNの市場拡大が加速しています。1、2年前まではひと瓶数十万円するほど超高額サプリでしたが、以前に比べ原料価格が大幅に下がり、2021年の今年からはひと瓶5000円程度で手に入れることができるようになりました。

 それでは、NMNの効果と副作用について確認していきましょう。

 NMNを摂取すると体内でNADに変換され、これがサーチュイン遺伝子を活性化させます。サーチュインは7種類あり、その1つのSIRT1(サーティワン)は、血糖値を下げるインスリン感受性を高め、糖や脂肪の代謝を良くしたり、神経細胞を守り記憶や行動を制御するなど、老化や寿命のコントロールに非常に重要な役割を果たしています。

 NADは年齢とともに減少していくので、サーチュインの活性が弱まり、そしてミトコンドリアの機能が低下して活性酸素が発生し、細胞の老化やガン化の原因になります。そのため、このNADを増やして健康寿命を延ばす期待ができるNMNが今注目を集めています。マウスの実験では、メスが16.4%、オスが9.1%健康寿命が延びました(人間でも性差があるかは今後の臨床試験の結果次第)。現在、ワシントン大学の今井眞一郎教授の研究室で、人間を対象にした第1次臨床試験が開始され、すべての解析が終わり論文審査中の状態です。第2次の臨床試験も2020年10月からスタートしています。これには米国防省の予算がついています。物々しくなってきましたが、期待が大きい証拠ですね。

 NMNの効果が期待できるのは40~50代以降と考えられています。マウスの実験から言えることは、人間の20~30代に相当する若い健康体にNMNを飲ませても特に大きな変化はなく、40~50代に相当する中高年になってから非投与群との差が出始めたということです。

 筋肉的には、40代以降の方に効果が出るのではないかなと考えています。インスリン感受性を高め、糖や脂肪の代謝が良くなるのは筋肉にとってプラスに働きますし、ミトコンドリアの働きを良くしてくれるので、筋トレによる活性酸素の発生も抑制してもらえるのかなと思います。

 ちなみに、ビタミンB3(ナイアシン)のサプリメントにNADは含まれていますが、微量なので大量に摂取しなければなりません。しかしながら、ビタミンB3の大量摂取は、肝臓障害を起こしたり、膵臓から分泌されるインスリンの効きが悪くなったりする副作用が出るので要注意です。

 NMNの副作用については、現段階ではよくわかっておらず、長期間の服用により手足のしびれといった抹消神経の障害が発生する可能性がマウスにはあるようです。また、細胞を増やすNADはがん細胞も増やしてしまうのではないかと指摘する医師もいます。

余談

 私も現在、NMNサプリを購入して毎日摂っています。といっても摂り始めて1週間ぐらいです(汗。副作用は特に感じず、1つ良くなったことがありました。恥ずかしながら就寝中の頻尿が改善しました。というのも私は数年前に筋肉のエネルギー源としてクレアチンサプリメントを摂り始めた頃から、クレアチンの副作用として人によっては利尿作用があるためその影響を大きく受けていました。それでも、数年我慢して摂り続けていたところ、クレアチンの摂取を止めても、頻尿は止まらず困っておりました。たぶん、クレアチンによる腎機能の低下か、摂取前から腎臓が弱かったかのいずれかだと思うのですが、就寝中の頻尿によりトイレに起きることで、長く熟睡することができずストレスになっていました。

 ところが、NMNを摂り始めてからこの1週間、1度も起きずに熟睡できるようになりました。偶然にしては出来すぎです。NMNの効果の1つとして糖尿病による腎不全を回復させることが知られており、現在、日本腎臓学会ではNMNによる腎保護効果の可能性を検討しています。NMNが私の腎機能を改善してくれたのかもしれません♪このままNMNの摂取を続けて、また良い事や悪い事があればお知らせしたいと思います。

 余談の余談ですが、NMN研究の世界的権威者はデビッド・シンクレア教授と今井眞一郎教授なのですが、その今井教授は、週2回ジムで筋トレに励んでいるようです。あと朝にタンパク質摂取を意識して牛ステーキや魚などを食べ、昼は普通に食べ、夜は軽くワイン1~2杯とチーズやハム、フルーツをとるくらいで、20時以降は何も食べないようにしているそうです。動物性タンパクやハムはご愛敬ということで、天才もこのような食生活を送られていることには親近感を覚えますね。健康の基本をしっかり抑えて実行されています。皆さんも、健康寿命を延ばすためにまずは、運動の習慣化と食事制限から始めてみてはいかがでしょうか。

Kaname
Kaname

次回は、最後の章「老化を治す未来科学Ⅰ」です!

参考文献「LIFE SPAN 老いなき世界」

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